人生を変える決定的なきっかけ
2020年、世の中に新型コロナウイルスが流行し、世界が大きく変わる年。
マスクや消毒薬、トイレットペーパーまで無くなってしまう異常事態の中、私の職場も環境対策や出向先での感染予防対策など、職員一同初めての事だらけでピリピリとしたムードの中、3月に人事異動が発表されました。
私の職場は、常に行動を共にする数人が1チームとなって働く仕事です。
4月から実質そのチームを任される事となりました。
いつかは来る立場だと分かっていたつもりでしたが、いざその時となるとただでさえギリギリだった私はその責任の重さをもろに感じていました。
チームを守らなければならない。
何か不具合が起こればそれを判断した自分の責任。
もっと自分の知識と技術を向上させなければならない。
後輩の指導もしっかりと計画実行しなければならない。
コロナにも絶対感染できない。
悶々としながら新年度が始まりました。
やらなければならない事が山積みの日々。
しかし私自身、大事な事にエネルギーが湧きません。
日々の事務処理や雑務的な仕事に先に取り掛かったり、それを理由に後輩の指導を大してやらなかったり。
自分がこの立場となり、優先すべき行動が出来ていないと感じ、自己嫌悪となる。
そして休日はスキルアップしなければと思うのですがやる気が起きず、ダラダラと過ごし、その割に疲労感が抜けないまま次の勤務。という負のループとなっていきました。
そして暑さも厳しくなり、夏真っただ中の8月、私は仕事中「動悸」を感じました。
「なんかまた心臓の鼓動がおかしいな…」
すぐに上司に報告し、病院に行くことに。
心電図検査で発覚したのが、
「上室性頻拍」
また心拍数が1分間に200回前後となる発作が起こっていたのです。
「また入院でカテーテル手術か?!」
と、さすがにショックでしたが、前年に治療した心室性頻拍と違い、自覚症状としては動悸くらい。苦しさもありませんでした。
医師からの説明も、「心室性頻拍に比べれば危険度は低く、薬で抑えることが出来るでしょう。入院も必要なし。」との事でした。
その説明を聞いた瞬間、私の中で安堵感と同時に、
今までにない感情が起こりました。
「自分の命を守らなければ」
今までは周りの目や、家族がどう思うかとか、人にどう思われるかばかりを気にしていた私が、
自分を中心に考え始めた瞬間でした。
負のループを繰り返してきたこの1年。今思えば、ほぼうつ状態だったと思います。
それを対処しなかった結果、また心も身体も自分で追い込んでしまった。
同じ失敗を繰り返したことに、ようやく気づけたのでした。
「このサインは受け止めなければならない」
取り返しのつかない病気でなかったことは、本当に運が良かったと思います。
診察が終わり、待合いで妻と二人。
家族がいてくれること、家に帰れること、当たり前に過ごせる事。
心臓が教えてくれた命のサインにより、生きれることの幸福感と感謝を感じ、
新たな命をもらったような、幸せな時間でした。
すると大きなエネルギーも湧いてきます。
「一歩踏み出そう!後悔はしたくない!」
この二回目の心臓の病気により決定的なきっかけを得た私は、
ここから人生を変えるための行動を始めます。